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東京タワー (東京都港区) >>>拡大 |
<目次> |
広大な空間を体験する 南にはレインボーブリッジから東京湾が、西には恵比寿ガーデンプレイスから六本木ヒルズが、北には新宿副都心から皇居が、そして東には銀座から浜離宮がひろがっている。 ここは地表250m、今日(2004年1月18日)は、日本にきているネパール人留学生2人を案内して、東京タワーの特別展望台にやってくる。彼らは、わたしがネパール国立トリブバン大学でおしえていたときの教え子であり、現在は、九州大学大学院と東京大学大学院でそれぞれ研究をつづけている。 東京タワーは高さ333m、いうまでもなく東京観光の名所であり、今日もたくさんの観光客がおとずれている。わたしは、小さいときに一度だけきたことがあるだけで、今日は本当にひさしぶりにやってきた。 ここからは大都市・東京が手にとるようによくみえる。東京都庁の展望台にものぼったことがあるが、そこは周囲に高層ビルがあり見晴らしはよくなかった。それにくらべてここははるかに展望がよい。わたしは、かつておとずれた場所をつぎつぎに確認し、そのときの体験をおもいおこしていく。かつていったことがある所を高いところから見直すというのはとても気分のいいものである。地図をつかってその場所を確認するということはよくあるが、ここは地図のうえとはちがい立体的な現実の世界であり、広大な空間を実際に体験できる場なのである。
かつての体験をとらえなおす このような鳥瞰という行為には、ただ単に大局をつかむということだけではなく、今までの個々体験を高い視点から「とらえなおす」という意味もある。しかもきわめて短時間でそれができる。体験を一気に総括するといってもよい。鳥瞰的にみるということは、このような点で非常に重要な行為である。このための装置として東京タワーはとても有用である。 それにしても、東京の無機的なひろがりの大きさにはあらためておどろかされる。東京は超過密なメガシティである。ゆたかな自然にめぐまれたネパールからきた学生2人も大変おどろいているようだ。ネパールと東京は、自然と人工のみごとなコントラストをなしている。
しばらくすると、西の空に夕日がしだいにしずんでいく。そして台形のシルエットがくっきりとうかびあがる。富士山である。想像していたよりもずっと大きい。人工的世界をつらぬいてそびえる富士山、これが日本を象徴する風景なのだろうか。最後に富士山がみえたのは本当によかった。留学生の2人は感動しながら写真をとっている。 |
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