-恐竜博物館ダイノソアファクトリー- |
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ブラキオサウルス |
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探究のプロセスを体感できる 臨海副都心・有明に、ユニークな恐竜博物館が誕生した。林原自然科学博物館ダイノソアファクリーである。これは、パナソニック・デジタルネットワーク・ミュージアムとして、パナソニックセンター内に開設されている。 いわゆる博物館というと、研究成果としての展示物を順番にみていくのであるが、この博物館では、恐竜化石の「研究プロセス」をみることができ、発掘現場から、標本の分析、復元・展示までを一連のストーリーとして味わうことができる。いわば研究の「現場」を体感できるしくみになっていて大変おもしろい。 2003年10月、わたしはこの博物館を見学する。1階の標本倉庫をぬけると、モンゴル・ゴビ砂漠の風景がひろがっている。地層の中にうまっっている化石の写真が数多く展示されている。化石は、あたかも地層という「うつわ」に入っているかのようである(図1)。1995年の発掘調査では、植物食恐竜サウロロフスと肉食恐竜タルボサウルスが発見され、化石を地層の中からとりだし、石コウでかためて日本にもちかえったという。 図1.化石と地層
また、ゴビ砂漠の地層の調査(地質調査)により、7000万年前のゴビ砂漠には大きな曲がりくねった川が南東から北西に向かってながれていて、植物がしげり、たくさんの恐竜がすんでいたことがあきらかになっている。 化石を研究する科学者は「古生物学者」とよばれ、彼らは、各自のテーマ・問題意識にしたがって、フィールド(野外)に化石をさがしにいく。フィールドでは、きびしくともたのしいキャンプ生活をしながら、何十日も発掘調査をつづける。化石が発見されると、化石ともに周囲の地層もよく観察する。これは、その化石になった生物が、当時どのような環境で生きていたかをしる手がかりをえるためである。地層をしらべることにより、恐竜が生きていた当時のまわりの様子を推定することができるのである。現地調査では、化石だけにとらわれず、その「うつわ」も全体的に観察することが重要である。 モンゴル・ゴビ砂漠をぬけ、エレベータで3階までいくとラボ(実験室・研究室)の中に入る。発掘現場の地層からもちかえった化石を岩石からとりだして、こわれたところをなおしたり、欠けているところをおぎなったり、化石から型をとって模型をつくったりしている。ゴビ砂漠からもってかえってきた植物食恐竜サウロロフスの化石が姿をあらわしてくる。無数の骨から恐竜の骨格をくみたてる。 ラボをぬけると研究ドッグに入る。ここでは、発掘現場でえられたデータと、ラボでの分析によってえられたデータとを総合して、恐竜の姿や恐竜が生きていた環境の復元がおこなわれ、その結果が展示されている。かつて生きていた生物は化石としてのこり、当時の環境は地層としてのこっているのであるから、化石と地層の両者のデータから生物と環境との両方を推理し、当時の様子を復元していく。(図2) 図2.研究の現場 -博物館の展示-
このように、古生物の研究は、「現地調査」、ラボでの「標本分析」、生物の「生態の解明」という3ステップをふんでいるということをこの博物館は明快におしえてくれる(図3)。 図3.古生物研究の方法
要素 と うつわ 化石は、地層という「うつわ」の中に入っており、そこからとりだされ研究される。その「うつわ」に対して、化石のことを一般的にいうならば「要素」ということができるだろう。化石と地層との関係は、「要素」と「うつわ」の関係である。「要素」とはその場を特徴づけるものであり、「うつわ」は要素をうきあがらせる役割をはたしている(図4)。 図4.要素 と うつわ
「うつわ」の全体的な調査と「要素」のくわしい分析、この両者のくみあわせにより古生物学者たちは、すでに絶滅した生物の生態、そして当時の様子を想像・復元しているのである。 古生物学者は過去の場を探究しているが、この方法は、現在の場を探究する場合にも活用できる。たとえば民族研究とか地域研究とか。現在の方が過去のことよりもデータが手に入りやすいことをかんがえると、現在の探究の方がはるかにりやすいかもしれない。 このように、フィールドワークをおこない現場を探究する場合には、個々の目立つ「要素」とともに、その要素が入っている「うつわ」にも注目しなければならない。うつわをみおとさないことが大切である。目立つ要素よりもうつわの方に、問題解決のヒントやあらたな活路がかくされていることも多いだろう。 |
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