推理と対決 -『刑事コロンボ』研究 -/まえがき
推理と対決 -『刑事コロンボ』研究 -
目 次
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まえがき
01.殺人処方箋
02.死者の身代金
03.構想の死角
04.指輪の爪跡
05.ホリスター将軍のコレクション
06.二枚のドガの絵
07.もう一つの鍵
08.死の方程式
09.パイルD-3の壁
10.黒のエチュード
11.悪の温室
12.アリバイのダイヤル
13.ロンドンの傘
14.偶像のレクイエム
15.溶ける糸
16.断たれた音
17.二つの顔
18.毒のある花
19.別れのワイン
20.野望の果て
21.意識の下の映像
22.第三の終章
23.愛情の計算
24.白鳥の歌
25.権力の墓穴
26.自縛の紐
27.逆転の構図
28.祝砲の挽歌
29.歌声の消えた海
30.ビデオテープの証言
31.5時30分の目撃者
32.忘れられたスター
33.ハッサン・サラーの反逆
34.仮面の男
35.闘牛士の栄光
36.魔術師の幻想
37.さらば提督
38.ルーサン警部の犯罪
39.黄金のバックル
40.殺しの序曲
41.死者のメッセージ
42.美食の報酬
43.秒読みの殺人
44.攻撃命令
45.策謀の結末
考察 -コロンボの方法-
参考文献
作品評価

まえがき

 「あっ、もう一つだけ・・・
 よれよれのレインコートを着た刑事が急にふりかえり、するどい質問をなげかけてくる。その刑事の名はコロンボ、ロサンゼルス警察殺人課に勤務する。
 『刑事コロンボ』(旧シリーズ)は、1972〜1979年にNHKで放映されたミステリテレビドラマである(アメリカでは1968〜1978年にNBCで放映された)。その全エピソードは、現在では、DVD(注)などで手軽にたのしむことができる。
 『刑事コロンボ』は、テレビミステリにはめずらしく、一部の例外をのぞいて、完全犯罪をたくらむ犯人の周到な犯行を視聴者に見せたあと、コロンボがわずかな手掛かりから犯人をつきとめる倒叙スタイルになっている。視聴者は、あらかじめ真犯人を知っているので、コロンボがどのように推理をすすめ、いかに犯人と対決していくのかに興味を集中させることができる。
 本サイトでは、『刑事コロンボ』(旧シリーズ)全 45 エピソードについて、「キーイメージ」「犯行の動機」「コロンボはいつどこでピンときたか」「犯行を裏付ける事実」「コロンボはいかにして決着をつけたか」の5つの観点から分析をこころみた。そして、その分析結果をふまえ、全エピソードに解説をくわえた。
 「キーイメージ」では、完全犯罪をたくらむ犯人の犯行やトリックを理解する上で重要となる場面(映像)をとりあげた。このイメージは、各エピソードの内容を記憶し想起するためのきっかけや手段としてもつかうこともできる。
 「犯行の動機」では、犯人が犯行におよんだ動機を簡潔に要約した。いかなる犯行にも動機はかならず存在する。
 「コロンボはいつどこでピンときたか」では、コロンボが犯人に目星をつけたり、犯人逮捕の着想をえた瞬間を記述した。いつどこでピンときたかは、コロンボ自身がかたっている例は非常に少なく、確定することはむずかしい場合が多い。またそもそも、ピンとくるのは一回ではなく複数回ある場合もある。しかし、ストーリーの流れや前後関係、コロンボの言動や表情をよく観察して、推理や事件解決のためにもっとも重要であるとかんがえられるポイントをとりあげた。
 「犯行を裏付ける事実」では、犯人の犯行を裏付ける事実すなわち状況証拠を列挙した。
 「コロンボはいかにして決着をつけたか」では、コロンボが犯人との対決に最終決着をつけた場面を要約した。この場面は、エピソードのクライマックスであり、数々の名ラストシーンが見られた。
 そして最後に、旧シリーズ 全45エピソードの分析結果すべてを総合して、コロンボの推理と対決の方法に関する考察をおこなった
 『刑事コロンボ』は、方法論の観点から見て実におもしろい作品である。本サイトは、「推理と対決」の方法を読みとくために、上記の5つの観点から『刑事コロンボ』について分析し考察をくわえたものである。
 本文を読む前に、まず、DVDあるいはブルーレイを見て、そのあとで本文を読んでいただければ、コロンボの方法についてよりふかく理解することができるとおもう。そして、もう一度DVDあるいはブルーレイを見直せば、『刑事コロンボ』をさらにふかく味わいなおすことができるはずである。『刑事コロンボ』は何回もくりかえし見る価値のあるすぐれた作品である。
 本サイトが、コロンボがくりひろげた推理と対決のゲームを理解する助けになり、『刑事コロンボ』をさらにふかく楽しんでいただくきっかけになれば幸いである。

2005年12月
田野倉達弘

(注)発売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
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